
「牙琉検事、しっかり歩いてください。ったく、こんなにお酒に弱いなら、気をつけて飲めば良いのに」
肩を貸しながら王泥喜は自宅の階段を上る。
「オデコ君家引っ越せばぁ?この階段キツいんですけど…。そして気持ちが悪い」
「あもー、家につくまではもう少し我慢しててくださいよ」
ズボンのポケットから鍵を出し部屋を開ける。
崩れ落ちる牙琉の靴を脱がす。
えへへ〜ごめんね〜。等と普段絶対に聞かない言葉を耳にし、寒気がした。
「検事、お水いります?」
「欲しい…気持ち悪くてつらい」
コップに水道水を入れて、手渡す。が、ミネラルウォーターじゃないとだだをこねる芸能人を見て、王泥喜 法介は心底あきれた。。
「とりあえずお風呂は明日の朝に入ってください。布団を引いてきますから這って来れますか?」
「どうして僕が這ってそこまで行くんだよ。つれていってくれるのが優しされしょ?」
「あんたね、そういう時だけ優しさって言葉出さないでもらえます?」
ブツクサと文句をいいながら、引っ張っていく。
もちろん足をつかんでだ。
がごん!どごん!と豪快に頭と体をぶつけまくっている検事を無視して、引っ張り続ける。
「あたたたたたた!この僕のキューティクルな髪が禿げたらどうするんりゃ!訴えるぞ」
「訴えてかまいません。こんな夜中に人様の家でわがままし放題なんですからね!」
む〜とぶーたれる様子を見せるが、さすがは芸能人で様になる。
芸能人に興味の無かった自分でも、見とれてしまう。
「ほら、子供みたいにしてないで、この前に来たスウェット出しますから着てください」
「おデコくんが着せて…くれる分けないよね」
言う事がわかっていたのか、鬼の形相で検事を見つめる。
ずるい。そんなギャップを見せるとかずるい。と一人耳まで赤くなりながら、丈が短いと言われた服を渡す。
「ほら。着替えてくださいね。その間に布団用意しますから」
「何から何まで済まないねぇ」
ヘラヘラというこのバカ検事の顔を見ていたら、文句の言葉ももうでてはこなくなった。
敷き布団に、掛け布団。寒くなるといけないから毛布も出しておくか。
敷き布団を敷き用意し、着替え終わったか確認を知る。
「検事着替えおわ…っ!」
「ごめんねぇ、なんか着替えづらくって。ってこのスケベ〜」
上半身裸の、ボクサーパンツ一枚の姿でじたばたしている。
こんな姿ファンが見たら卒倒モノだぞ…。
俺はきっとドキドキしてるんだろうな…。この気持ちは綺麗なモノを見た時と同じ気持ちなのだろうと、納得させた。
「あんたがスケベだ、猥褻物陳列のくせに…」