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  • 3

    途中でロックバイソンと合流し、その後ネイサンが突然現れた。
    まぁ誘ったのは誰とは言わないが…。

    アントニオはビール、ネイサンはモスコミュール。虎徹は梅酒。
    キースは虎徹が勝手に頼んだスカイハイ。
    酒はイケる口か?と聞かれ、多少なら…。と答えたら此れが出て来た。
    やっぱり此れだろ?と笑ながら渡された。

    「取り敢えず、ようこそ。だな。キースで良かったよな?」
    「アントン、本人に名前確認すんなよー」
    「うっせーよ。お前マジで酒目の前にするとそんなノリだよな?」
    「んもー。あんた達がそんなんだと素敵なルーキーさんが入ってこれないじゃない。ねぇ?」

    流石にこの3人はよく飲みに行く仲なのか、会話がポンポン弾む。
    若干取り残され気味で、圧倒されてしまった。

    「すまない…。えーと」
    「そうだ。もっと崩してもいいんだぞ?いくら先輩と言っても、やってる事はおんなじで同僚な訳。OK?」
    「えーと、気を遣わせてすまない。了解した」
    「いやーん!私もお近づきになりたいわン♡キース♡素敵な名前よね♡」

    ずいずいとネイサンが割り込んでくる。
    このキャラは得だなぁ~。と虎徹がケラケラと笑う。
    この人は良く笑な…。と一緒にふき出す。
    やっと笑った。よしよし。と髪を撫でる。
    今日は2回も撫でらてれ、しかも相手は年上の男性なのに嫌な感じがしない。
    どうしてだろう…。心地よいとさえ感じてしまう。

    「ほれ。しっかり食べろ。ヒーローは身体が資本だぞー。肉肉野菜ーとどめに肉ー!」
    「コラ!無理矢理肉を盛らない!」

    アントニオが、スパーンと気持ちの良い音がしそうなツッコミを虎徹に入れる。
    私の目の前の受け皿は、肉と肉がてんこ盛りだった。

    「だってよー。こいつニコニコしてばっかりで食べないんだもんさー。だから俺が皿に取り分けてやってんだろー」
    「そんなに詰め込んじゃあ、折角の美味しい食べ方が出来ないわよ?虎徹は此れだからガサツなのよ」
    「んだよー。皆して俺を苛めるなよ」

    「え?」

    皆の声が重なった。

    「どうしたんだい?私の顔に何かついてるかい?」

    皆が私の顔を見つめた。何か粗相をしたのだろうか?それとも何かしでかしてしまったのではないだろうか?

    「バカ。食べながら張り付いた笑顔でなく奴があるか」

    スッとハンカチを差し出す。
    きちんと洗濯とアイロンしてるから、綺麗だぞ。と虎徹が一言添える。
    何時の間にか流れていた涙に気がつかなかった。
    どうしたんだろう…。こんなに楽しいのに…。悲しくないのに涙が止まらない。
    止め方が分からない…。
    すまない。申し訳ない。

    「やっと此れで俺たちの仲間だな。今迄気遣い過ぎ。余計なもん吐き出してもっと騒ごうや…」
    「ワ…虎徹君…」
    「さ、もっと食べて飲んで騒ぎましょう♡キース何か飲みたい物でもあるかしら?」
    「さっき飲んだ物がいい」

    ずずっと鼻を啜り涙を拭い笑う。
    今度こそ飛び切り本当の自分の笑顔で。

    「スカイハイだってよ。ネイサン」
    「ハイハイ。頼んじゃうわよ」

    アントニオがネイサンに伝え、ごく自然な流れで注文する。
    この二人はすごくいい関係なのだろうと見て取れた。

    アントニオがポンポンと肩を叩く。
    其れを見てネイサンは頷きながら話を聞いてくれる。
    虎徹はたんと食べろと笑顔で話す。

    「虎徹君は全然食べてない。私よりあなたがきちんと食べて欲しい」

    お酒も入り、心地良い空間でふと気になった事を口に出した。
    虎徹は自分に食べろと沢山盛るが、自分は殆ど食べていない。
    寧ろお酒をチビチビ飲んでる程度だった。

    「いや、俺はあんまり食べれないんだよ」
    「少しだけなら駄目かい?」
    「あーもう、お前本当に犬みたいだな。食べるよ。頂きます」

    じーっと見詰めていると、何だかお預けで待ってる犬の気分だ。と笑い口に肉を頬張る。
    うまいうまい。と言って食べる姿がとても嬉しかった。
    そう言えば何かとこの人が気に掛けてくれる。
    今日の食事の場だってそうだ。自分からでは絶対にここ迄発展出来なかった。

    「俺の顔を見ても何も出ねえぞ。キース」

    ニヤリと笑った顔に少しだけドキリとした。
    虎徹の瞳は今日見惚れてしまった女性の瞳の色と酷似している。
    綺麗な琥珀色の瞳だ。

    きっとお酒のせいだと自分言い聞かせ、喉にスカイブルー色のお酒を通らせた。

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