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途中でロックバイソンと合流し、その後ネイサンが突然現れた。
まぁ誘ったのは誰とは言わないが…。アントニオはビール、ネイサンはモスコミュール。虎徹は梅酒。
キースは虎徹が勝手に頼んだスカイハイ。
酒はイケる口か?と聞かれ、多少なら…。と答えたら此れが出て来た。
やっぱり此れだろ?と笑ながら渡された。「取り敢えず、ようこそ。だな。キースで良かったよな?」
「アントン、本人に名前確認すんなよー」
「うっせーよ。お前マジで酒目の前にするとそんなノリだよな?」
「んもー。あんた達がそんなんだと素敵なルーキーさんが入ってこれないじゃない。ねぇ?」流石にこの3人はよく飲みに行く仲なのか、会話がポンポン弾む。
若干取り残され気味で、圧倒されてしまった。「すまない…。えーと」
「そうだ。もっと崩してもいいんだぞ?いくら先輩と言っても、やってる事はおんなじで同僚な訳。OK?」
「えーと、気を遣わせてすまない。了解した」
「いやーん!私もお近づきになりたいわン♡キース♡素敵な名前よね♡」ずいずいとネイサンが割り込んでくる。
このキャラは得だなぁ~。と虎徹がケラケラと笑う。
この人は良く笑な…。と一緒にふき出す。
やっと笑った。よしよし。と髪を撫でる。
今日は2回も撫でらてれ、しかも相手は年上の男性なのに嫌な感じがしない。
どうしてだろう…。心地よいとさえ感じてしまう。「ほれ。しっかり食べろ。ヒーローは身体が資本だぞー。肉肉野菜ーとどめに肉ー!」
「コラ!無理矢理肉を盛らない!」アントニオが、スパーンと気持ちの良い音がしそうなツッコミを虎徹に入れる。
私の目の前の受け皿は、肉と肉がてんこ盛りだった。「だってよー。こいつニコニコしてばっかりで食べないんだもんさー。だから俺が皿に取り分けてやってんだろー」
「そんなに詰め込んじゃあ、折角の美味しい食べ方が出来ないわよ?虎徹は此れだからガサツなのよ」
「んだよー。皆して俺を苛めるなよ」「え?」
皆の声が重なった。
「どうしたんだい?私の顔に何かついてるかい?」
皆が私の顔を見つめた。何か粗相をしたのだろうか?それとも何かしでかしてしまったのではないだろうか?
「バカ。食べながら張り付いた笑顔でなく奴があるか」
スッとハンカチを差し出す。
きちんと洗濯とアイロンしてるから、綺麗だぞ。と虎徹が一言添える。
何時の間にか流れていた涙に気がつかなかった。
どうしたんだろう…。こんなに楽しいのに…。悲しくないのに涙が止まらない。
止め方が分からない…。
すまない。申し訳ない。「やっと此れで俺たちの仲間だな。今迄気遣い過ぎ。余計なもん吐き出してもっと騒ごうや…」
「ワ…虎徹君…」
「さ、もっと食べて飲んで騒ぎましょう♡キース何か飲みたい物でもあるかしら?」
「さっき飲んだ物がいい」ずずっと鼻を啜り涙を拭い笑う。
今度こそ飛び切り本当の自分の笑顔で。「スカイハイだってよ。ネイサン」
「ハイハイ。頼んじゃうわよ」アントニオがネイサンに伝え、ごく自然な流れで注文する。
この二人はすごくいい関係なのだろうと見て取れた。アントニオがポンポンと肩を叩く。
其れを見てネイサンは頷きながら話を聞いてくれる。
虎徹はたんと食べろと笑顔で話す。「虎徹君は全然食べてない。私よりあなたがきちんと食べて欲しい」
お酒も入り、心地良い空間でふと気になった事を口に出した。
虎徹は自分に食べろと沢山盛るが、自分は殆ど食べていない。
寧ろお酒をチビチビ飲んでる程度だった。「いや、俺はあんまり食べれないんだよ」
「少しだけなら駄目かい?」
「あーもう、お前本当に犬みたいだな。食べるよ。頂きます」じーっと見詰めていると、何だかお預けで待ってる犬の気分だ。と笑い口に肉を頬張る。
うまいうまい。と言って食べる姿がとても嬉しかった。
そう言えば何かとこの人が気に掛けてくれる。
今日の食事の場だってそうだ。自分からでは絶対にここ迄発展出来なかった。「俺の顔を見ても何も出ねえぞ。キース」
ニヤリと笑った顔に少しだけドキリとした。
虎徹の瞳は今日見惚れてしまった女性の瞳の色と酷似している。
綺麗な琥珀色の瞳だ。きっとお酒のせいだと自分言い聞かせ、喉にスカイブルー色のお酒を通らせた。