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触れたくて触れたくて、僕は右手で君を探す。
嫌われたくない。でも触れたい。葛藤する。こんな僕をあざ笑わないで。必死なんだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
「狭いですけど…」
「どこ?ここー?まぁいいや。ここで寝ていい?もう眠いー」
「やめて下さい。ほら、靴脱いで!」
 
履いていた靴を勢い良く脱ぎ、反動でポーンと飛ぶ。それが面白いのかまた同じ事をする。
ダメだ。格好なんて付けていられない。まだ2人で居ることに心が踊るのだ。冷静になってきている自分と、なんとも言えない感情に満たされてる自分。
まだまだ足りなくてもっと甘えたい。近くにいたい。
 
「えへへ」
「何ですか。いきなり笑い出して」
「ゴメンねーだって楽しいんだもーん」
「アンタはもうちょっと有名人としての自覚を持って下さい。楽しいのはいいですけど、自分を失うまで飲まない」
 
ズルズル引きずられ、おデコくんの一番の生活エリアに到着した。
相変わらず綺麗に掃除してあって、物が少ない。
 
「水持ってきますね」
「はーい」
 
手をヒラヒラさせ、部屋を見る。
本棚に目をやる。以前きたときにみたアルバムがまた目に入る。すると抑えていた疑問が湧き出る。
確かめてみたい。お酒のせいにして確かめてみたい。
どす黒い何かが、腹の奥から出てくる。
 
「水、飲めます?」
 
コップを受け取り冷たい水を口に含む。コクリと喉を上下させる。
酔いは覚めない。
 
「取り敢えずジャケット脱げます?以前貸したスウェット出しますから待ってて下さい」
 
離れて欲しくない。そう思うと理性より本能が先に働く。
立ち上がろうとした時に手を引かれ、バランスが崩れおデコくんは僕に体を預けるように倒れる。
 
「ちょっ、な、何して…!」
 
腰に手を回す。男とは思えないほど細い。ちょうど目の前にチラリと鎖骨が見えた。
この鎖骨をかじってみたい。と首元に舌を這わせる。
 
「ひゃっ!冗談はッやめッ…」
「逃げないで…。僕から逃げないで…」
 
一瞬動きが止まった。そのタイミングで鎖骨に歯を当てた。
 
「‼︎」
 
ビクッと後ろに跳ねる。それでも逃がさない。腰にまわした手を背中に這わせ探る。
 
「牙琉検事…!いい加減に‼︎」
「おデコくんは嫌かい?僕はキミが欲しい」
 
空いている片方の手でベルトに手を掛ける。
 
「が、牙琉ッ検事!実はッ」
「おデコくん、女の子でしょ?」
「⁈」
 
顔が一瞬強張る。
図星…だね。僕的には男の子でもよかったんだ。離したくないんだ。本当に本当に…。
でもね、離したく無いのと同じぐらい、支配したい。ねぇ…どうしよう?
 
「僕はおデコくんに触れたい。もっともっと触れて、身体を感じたい…」
「んッ‼︎」
 
口を使い胸元の肌に刺激を与える。甘噛みをし、上目遣いで見る。
アンタは…卑怯だ…。と小さな声が漏れた。
 
「僕はおデコくんが男の子でも女の子でも、別に構わないんだ。おデコくんがいいんだ」
「やっ…!」
 
空いた片手でシャツのボタンを外す。力無く抵抗しても、僕の手を強く払いのけない。
調子に乗って更にボタンを外す。
シャツの下にサラシが見える。
 
「窮屈でしょ?今すぐ取ろうよ」
「やっ!や…め…‼︎」
 
サラシの上から押し潰された胸に、愛おしく触れる。サラシを取りながら露わになるピンク色のブラと白いふわふわした胸に口付けを落とす。
 
「ッ‼︎」
 
左の手を口に当て、必死に声を殺す。
もっと声を聞きたい。
サラシが取れ、露わになるブラの上から一番敏感であろうところを口に含む。
 
「んっ!」
 
抵抗もせずじっと耐えているのは、諦めているから?それとも期待をしてもいいのかな?
 
「ねぇおデコくん。僕はこのままおデコくんを抱こうとしてる。嫌なら激しく抵抗して欲しい。抵抗がないと期待してしまうよ?」
「かっ悲しい顔して、言わないでください…。俺は……」
「大好きなんだ。おデコくんを失うことを考えたら、胸が苦しくて辛いんだ…」
 
ふわっ、と頭を抱きかかえられる。
顔を見上げると、優しく困った顔をしたおデコくんが見えた。
 
「何泣きそうな顔をしてるんですか…。俺は…検事が嘘をついていないことは…分かるんです…。本当は、俺も心の片隅で期待をしていたのかも知れないです…。だから、きっとこの部屋にもあげたと思います…」
「おデコくん無理してない?」
「やっ、やめて下さい…。こんな事言うのも、その…、触れさせるのも…初めて…なん…」
 
最後の言葉も聞かずに押し倒し、キスをする。
触れるだけではなく、ヌルついた舌で歯列をなぞる。我慢出来ずに口を開けたおデコくんの舌を執拗に絡める。
 
んっ!と鼻から抜ける声が段々艶を増し、口の端からだらしなく糸が垂れた。
余りにも官能的で目の前がぐらつく。
執拗に与える刺激が物足りなくなり、直接胸に触れる。ビクッと反応し、必死に声を出さないように手を噛んでいる。そんな事をすると痕になる。と噛み締めている手を舐める。口元、指の水かき、全て愛撫するように…。
手が口元から離れ、鼻から抜ける声に艶を増す。その声に更に高ぶりを抑えられず、ふに…と片手に包まれる乳房が愛おしくて堪らなく、痛いほど敏感になっている先端を口に含む。
 
「ん…!やっ!」
 
初めて味わう感覚に逃げようともがく。
ワザと音を出しながら甘噛みをしたり、吸って羞恥心を煽る。空いた手で乳房が可哀想になるぐらい押し潰したり、先端を摘み上げたりされ、多分きっとおデコくんの頭の中はぐるぐる回って大変なんだろうね。
でも僕も余裕…無いんだ。
 
「ねぇ…おデコくん…」
「な、何で…すか…」
 
肩で息をして、顔が真っ赤になっている。
生理的に涙を流し髪が乱れ、幼い顔が怪しい色気を醸し出す。
ゴクリ…と唾を飲み込む。優しく目尻の涙にキスを落とす。
 
「脱がしていい?」
「きっ、きかないで下さい…!」
「じゃあ、僕から脱ぐよ」
 
上着を脱ぐ。
心臓が破裂しそうで怖い。正直誰かを抱くとかこんな感じになった事はなかった。ただ己の快楽への過程にしか過ぎない。しかし今はどうだ。まるで今初めて他人の身体を見た感覚に陥り、胸の高鳴りが激しくなる。
 
「ほら…、こんなに心臓がドキドキしてる。こんな感覚は初めてなんだ…」
 
おデコくんの左手に触れ、自分の胸に当てる。
大きな目は戸惑いの色を孕んでいるが、まっすぐに見つめてくる。
 
「牙琉…検事でも、緊張…するんですね…。俺は恥ずかしくて死んでしまいそうです…」
「こんなに愛おしい気持ちは、今迄感じた事ないよ。歌って来た安っぽい愛の歌も囁きも、今の僕にはタダの戯言にしか聞こえない。僕の全てを捧げる…」
「…もう俺が恥ずかしくなるので、言葉よりずっとずっと…側に居て下さい…」
「おデコくん…君には敵わないよ。僕の方そこ側に居させて…」
 
お互いの唇を重ね、大人のキスをする。
戸惑いながらも舌を出して必死に絡めてくる。
正直気遣ってあげられるほど今の僕には余裕がない。
背中に手をやり、ブラのホックに手を掛ける。プチッとホックが外れ肩に手をかけた。
 
「っ!なんでそんなに手慣れてるんですか…」
「手馴れてないよ?」
「で、でも、簡単にホック外すなんて…」
「嫌いになった?」
「なっ…なる訳…ないです…」
「指先は器用なんだ。僕」
「自分で、自分で脱げます。あの…なんだが流されっぱなしで悔しいです」
「変なところで意地はって、かわいいね」
「か…可愛く何てない…です」
 
消え入りそうな声が一層可愛くする。
何時もの大きな声も元気があってキュートだけど、今の艶のある声はとてもじゃないけど誰かに聞かせたくない。
  
 

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