
「オドロキさんってカメラが趣味なんですか?」
突然みぬきちゃんの愛らしい声が事務所に響く。
事務所には俺とみぬきちゃんしか居なくて、所長であるナルホドさんと希月さんは外出中である。
そう言えば何と無く趣味に聞かれて、答えたのを思い出したり
「確かに趣味…だね。詳しい訳ではないけれどね」
「だったら今度、みぬきの写真を撮って下さい」
「宣材写真?」
「いえ、今のみぬきを撮って下さい」
「今の?」
言葉に引っかかりを覚える。
「んー、何というか、オドロキさんを見てるとレンアイもいいなって思って」
「ぶはっ!」
思わず啜っていたお茶を気管に入り噎せる。
んもー、きたないー!と言いながら背中をさすってくる。
「あのですね、恋する乙女は綺麗なんです!」
「そ、それがどうして俺と繋がると?」
けほり…と少し咳をしつつ、みぬきちゃんに耳を傾ける。
「牙琉検事と一緒にいる時のオドロキさんは、とってもキラキラしてるんです。レンアイはキラキラするなら今のみぬきもきっと違って写ると思うんです!」
「え?みぬきちゃんレンアイしてるの?」
「してない、です。今みぬきが口にすると鈍感さんな人達が一緒に暮らせなくなるんです」
「鈍感?一緒に?」
小首をかしげる。
「そうです。みぬきは今よりも、もっともっと大人になって綺麗になって結婚する時に悔しい思いと嬉しい思いをさせたいんです。みぬきは…パパ達を見て綺麗になれたんだよって、こんなに綺麗な女性から愛されてるだよ?って思い知らせないと」
途中まででやっと分かった。
あの2人長いもんね。早く一緒にいればいいのに、シキタリって奴が邪魔するみたいだ。
「ナルホドさんもだけどあの2人は本気で鈍感だもんね…」
「オドロキさんは言えないですよ。人の事」
うるさい。といいつつ、今度みぬきちゃんの写真を撮る約束をした。
俺にもし、もし、妹が居たらこんな感じなんだろうか?と心の中が温まる感じがした。