
眠るのが怖くて仕方が無い。
あの男は元々俺にしつこく付き纏っていたストーカーで、少しばかり立場が上のクソ野郎だった。
ヒーローと言う事は会社内でもトップシークレットだったはずなのに、あいつは俺の目の前に現れた。古典的で陰湿な暴露たくなければ言う事を聞け。
何時もの俺なら聞かなかっただろう。ただ言う事を聞かざる終えなくなってしまったのは、娘の名前を出されたからだ。
自分の事をとことん調べ上げたあいつならやりかねないと屈してしまった。
それから散々乱暴されたこの身体。薬を使われた事もある。
散々有りとあらゆる所で吐精され続け、薬物で無理矢理快楽を与えられ続けその代償は大きく、
排卵障害(PCO・内分泌不全)
ホルモンの異常により、卵子を排卵しない状態
つまりは妊娠出来ない身体になっていた。
特にクソ野郎の子供を妊娠なくてよかった。
出来た子供がかわいそうだ。きっと出来ても堕ろす事はないだろう。
その命に罪はないのだから。ただその子が食い物になるのが嫌だった。
ただ、ただ、辛く、楓以外子供が欲しいと思った事はないが、最後に自分が女と言う証すら奪われた気持ちで悔しかった。
毎日毎日何時如何なる時でも行われた気持ち悪い行為のお陰で夜眠る事も、食事する事も怖くて堪らない。
唯一ヒーローと言う自分と、お酒だけが自分と現実を引き留めてくれた。
だから、仲間内で飲める時間が生きていて良いんだと感じられたから。
そんな苦渋に満ちた行為が終わりを遂げる。
キースが俺を解放してくれた。
こんな俺を綺麗だと言ってくれ、全てを守りたいと言ってくれた。
どんなに嬉しくて切なかっただろうか…。
あれからあの男は現れない。キースは何も言わないがきっと何かをしてくれたのだろう。次期KOHは伊達ではない。その威圧感はとても一般人では太刀打ち出来ない。
キースネイサン、アントンに触れられると、すごく安心出来心地が良い。
少しずつ改善されて行く感じがした。
ただ、一度身体に刷り込まれた事はそう容易く拭い去れない。
甘える方法を知らない。それでも貴方は優しい手を差し伸べてくれる。
大好きでとても大切な人。