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「おはようございます。いらっしゃいませー。おきゃくさまほんじつはなにをおもとめですか?」
 
とある大型量販店のTVコーナーで毎日接客している、鏑木虎徹です!
モットーは楽に楽しくです!
今日も今日とてTVを案内するぞー!
 
早速ターゲット発見!(話相手的な意味で)いざ尋常にー!
若い男の子だ。一人暮らし用かな?
 
「どちらかでご検討中ですか?」
ニコニコ営業スマイルたっぷりに!
「あ…あのどのTVを買おうか悩んで…」
お、中々の美少年!しかも金髪…いや白銀?っぽい跳ねた髪が可愛い。ラッキー!キリッとしていれば芸能人ですと言っても信じて疑わないのに。
「そうでしたか!因みにどれですか?」
「あの…コレとこれのどちらかで迷っていて…」
おどおどした美少年は22インチの外付けHDD録画タイプと同じく22インチの内蔵録画型タイプで悩んでいた。
「お客様は録画は結構されますか?BDは必要ですか?」
「あ、出かけている時にできれば嬉しいかな…とBDはプレイヤーがあるので大丈夫です」
「そ うですか。このタイプですと、大体外付けHDDタイプはチューナーが1つって言うのが多いんですよ。(物によりますが)となると、見ている番組を録画か、 お出かけ中の録画となってしまうんですよ。お客様は見ている番組の裏番組も録画されなければ外付けHDDタイプ。録画したいなら少しお値段はしますが内蔵 録画型ですね」
「そうなんですか‼」
「で、因みにTVを置かれるお部屋は何畳ですか?」
「え?」
「因みに6畳なら32インチ迄選んで頂いても金額差はありませんよ」
「そうなんですか!是非32インチも見て見たいです!」
「どうぞご案内しますね」
 
 
「ーーーと言う訳ですよ。如何でしたか?参考になりましたか?」
「あの…店員さんが丁寧に案内してくれたので、僕これにします」
指を刺したのは最後にご案内した32インチの内蔵録画タイプだった。
はい!落ちたーーーーーー!
「ありがとうございます。是非良いTVなので、壊れる迄使ってあげて下さいね」
「ありがとうございます!大切にします!」
あー楽しかった。ああいう子は癒されるね。うん。無理して買ってなければいいけど。
 
 
*****
 
 
「いらっしゃいませー。ってアントンかよ」
「お前お客様に向かって白地(あからさま)に嫌な顔するなよ」
「お客様って、今日お前休みだろ。休み迄職場に来るなんて、仕事熱心だ事」
「うっせーよ。休憩行ったか?行ってないなら一緒に飯行かねぇか?」
「あー、もうそんな時間か。休憩もらってくるわんで、誘ったらには飯奢りな!」
「お前いっつも俺に奢らせてるじゃないか!」
 
 
 
*****
 
「こんにちは。いらっしゃいませー。おきゃくさまはほんじつはどのようなものをおもとめですか?」
 
 
 
「あのー。実家の両親にTVプレゼントしたいんだけど、僕何を選んで良いのかわからないんだ」
ショートボブの女の子から声を掛けられた。
可愛いいいいいい!今日はついてるんじゃないか!
「予算はどれぐらいですか?其れに合わせて決めて行きましょうか」
「予算は……ぐらい!」
「リサイクルTV分を差し引いても、これだけあると良いTV買えちゃいますよ」
「そうなの⁉頑張って貯めた甲斐があるよ!」
ぱああと可愛い笑顔が向けられる。
こ、これは何時も以上に頑張らねば!
「実家のリビングに置かれます?」
「うん!そろそろ買い換えないといけないって言ってたから」
「リビングって結構広いですか?」
「とっても広いよ」
「ご両親は機械に強いですか?あと録画機もどうしますか?」
「録画機も変えないといけないんだった。でも僕の両親すごく機械に弱いんだ」
僕っ子キタコレーーーーー\(^o^)/
「でしたらこのTVは如何ですか?BD内蔵型で尚且つプラズマでどの角度方も視野角バッチリ、リモコン操作もとっても簡単!ウーハーを搭載しているので音も良い!ハリウッドリマスターカラー搭載で映画も綺麗に観れます!そして何を隠そう一枚パネルなのでお掃除簡単!」
「リモコン操作が簡単だ!僕の予算で買えちゃうの⁉」
「買えちゃいます」
「これにします!良い物見つかった!ありがとう!」
「即決めちゃって大丈夫ですか?他にもご案内しますよ?」
「ううん。これが良い!これ気に入ったから!沢山ある中ですぐに良い物教えてくれてありがとう!今度来る時は僕のTVを選んでね!」
ええこやないの!心の中で泣いてしまう!
「では、配達可能日調べて来ますね」
 
「◯日以降でしたら可能ですよ」
「じゃあ◯日で!」
「金額頑張りましたから、浮いた予算で何か美味しい物食べて下さいね」
「本当にありがとう!」
いえいえ。僕っ子ご馳走様です!
目の保養です!国宝です!心のオアシスです!
 
 
 
*****
 
「こんばんは。いらっしゃいませー。たいへんおかいどくしょうひんがたすうございますよ。」
 
流石にピーク時を過ぎると客足が遠のいて行く。
こう言う時はお掃除するに限る!
 
「相変わらず楽しそうね」
「ようカリーナ!今からBARでお仕事か?」
「そうよ。やっとテストも終わったし、心置きなく歌えるわ」
「じゃあ今日はお邪魔しようかな。何時からステージだ?」
「え、来てくれるの⁉」
「ネイサンも誘って行くよ」
「ネイサンは確かアントニオを捕まえてドライブに行ったわよ?」
「そうか。あいつら仲良いよな。まぁ俺一人で行くから」
「21時からだから、仕事終わってからでも間に合うでしょ?」
「今日は残業せずに速攻終わらせて行かせて頂くよ。カリーナの歌楽しみだな」
「待ってるからね」
「おう!」
 
 
 
 
 
「虎徹さん。いい加減僕とも話をしてくれませんか?愛のキャッチボールを」
「お前はサボってないで仕事してろ」
黙ってればモデルでも通るぐらい綺麗なのに性格に難ありだな…。
「いや、僕はTV売るのは本職ではないので」
「さよか…。じゃあ俺の視界に入らないでくれる?」
「虎徹さんも僕の仕事わかってるでしょう?インターネット回線の取次が僕の仕事なんです」
「知ってるけど?」
「だったらどうして僕に虎徹さんの開通をさせてくれな…」
ぼすっとボディに軽く一発入れる。
「お前綺麗な顔してアホな事言わないでくれるかな?そんな事してないで仕事しろ」
「虎徹さんはこう言うのが趣味なんですね。分かりました。そう言うプレイで行な…」
「巫山戯んな。年上をからかうな!全く!」
肩を抱いて来るな!手つきがいやらしい!
「大丈夫ですよ。ほらあの通りを超えるとラブホ街じゃないですか。今すぐ行きませんか?」
「仕事しろ!俺はもう帰るの!」
全く調子が狂う!何であんなに残念なイケメンなんだか…。
 
 
「怒ってる割には避けないんですから…。もっと押せばイケるかな?」
 
 
*****
 
さて、おおカリーナのステージ迄十分間に合うな。
腕時計を確認してもカリーナのステージ迄50分もある。

「どわ!キース何してんだ!」
更衣室から出てすぐの食堂で大きな身体をテーブルに突っ伏していた。
「や、やあ…今日はとても忙しくてね…。お昼を食べ損ねてしまってお腹が空いて動けないんだ」
こんな時でも爽やか好青年。
「あー、そう言えば今日新作のゲーム発売重なったもんな」
「そうなんだ…。自分の時間配分が出来ずに…この様だよ…。情けないところを見られてしまったね」
「今からカリーナが働くBARに行くけどどう?労いの飯なら奢ってやるよ」
「本当かい!虎徹君!」
あ、俺今尻尾見えたかも…。
「階段じゃ危険だからエレベーター乗って退店しようぜ」
「ありがとうそしてありがとう」
「いいって事よ。さて飯に行きますか!」
 
 
 
 
急がば、回れ。
The more haste, the less speed.

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